コラム

感動のために…削る!

2010年10月13日(水)

皆様、連休はいかがでしたか?私事ですが、Aは石鎚山のふもとで、3日間のインタープリター養成講座に行ってきました。インタープリターとは、「自然案内人」。インタープリテーションとは、「伝える技術」のこと。「難しいことをわかりやすく」、「見えるものを通じて、背後にある見えないものを伝える」のだそうです。ジオパークのガイドをするために身につけたい、と思って行ってみると、全国各地からキョーレツなキャラの、様々な職業の人が30名!ホンマに濃い~~3日間でした!!!興味ある人がいるかもしれないので、チョット書かせてもらいます。

講義は最小限でじゃんじゃん体験します。コミュニケーションというものを知るために、ゲームしたり、グループワークしたりして学んでいくのは:「伝える」ために、たくさん「話す」ことで「知識」をじゃんじゃん渡しても、伝わらない。「体験」を通じて、「伝わる」「メッセージ」。五感にうったえた物は、強く残る。でも、体験を入れさえすればいい、というものじゃない。「体験」は、その後に来るメッセージを伝えるためにするもの。なんの関係もない体験をしても、何がメッセージなのか伝わりません… などなど。

3分間インタープリテーションを、見本を見せてもらった後でグループ実践・発表しました。施設のまわりの自然から題材をさがして、メッセージを考えて。あとでみんなからフィードバック。時間配分や体験とメッセージのつながりがイマイチでしたが、体験に選んだアクティビティは目の付け所がチョット光ってましたよ。たぶん。

見本を見せてもらったとき教わったのが、「けずる」作業の大切さです。講師のお二人によると、「一生懸命勉強して得た知識は、しゃべりたくなるんです。知識の引き出しは、開こう開こうとする。インタープリターは、その引き出しを必死でおさえなくちゃならないんです。専門家集団が来た時だけ、全部開けるんです。」言いながら、架空の引き出しを全身の力で抑えるジェスチャーをしてました。あぁやっぱりみんなこの誘惑とこんな必死で戦ってるんだなぁ~、と思いました。

なぜ戦うのか?

知識を一方的にしゃべればしゃべるほど、「伝わらない」から。

思うに、コレをやればやるほど、聞かされる人は「感動」から離されていくのじゃないでしょうか。

最終日には、各グループで、自然体験プログラムを作成。そこで習ったのが、美味しい焼き鳥をつくるには、全部を貫く「串」がないとダメ、つまり「全体を通してのコンセプト」が絶対必要、ってことでした。”全体を貫くものを、一言でいうと何ですか?” という要約が、講習の間に出てくることが何度か。そして、関連性のないものをただ羅列する「切り貼り」や、とりあえず全部入れちゃえの「全部盛り」はダメ。メリハリをつけて、ストーリー性を持たせて。最後に参加者目線に立って、「本当に楽しいの?」と問うてみる…。

これはもぉ壮絶に苦しみました。まず、グループの各自の出身地の「お宝」をランダムに紙に書いて、それから選んでつなげてプログラム作るんですが、どれをメインディッシュにするか。どうやって際立たせるのか。しかもコンセプトとかストーリー性に都合のいい施設がなかったり、都合いい順番で素材が並んでなかったり。時間的にムリやし、あぁ~!!!みたいな。

でも、「TVドラマでも何でも、良いもの・感動するものはコレが出来てる」んだそうです。

全体のコンセプトとかストーリー性が必要という話は、ジオパークだけが言ってるものでもなければ、世界ジオパークのネットワークに入る上での審査員対策のためだけのものでもない。聞き手になる人の身になって、もっとわかりやすく伝えたい、感動してもらいたいと望むとき、それを実現する方法として、いろいろな分野で既に広まっているものみたいでした。

今回練習したことは、私はジオパークでガイドをするとき、ぜひ生かしたい。まずは「削る」ことから。とはいっても、コレ簡単ではないですね~。やってみて痛感しました。

でも、どーんとぶつかってみましょうかね。

室戸に来てもらった人に、感動してもらいたいから。

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