競うより、お互いにいいところを見つけて進む。

山本正幸は南国市生まれ。35歳まで、建築現場で施工管理の仕事をしていた。
縁あって、かまぼこ店の長女だった朝子とお見合いし、結婚。
コンクリートを練る仕事から、新鮮な魚のすり身を錬る商売に転身する。
畑違いの仕事を継ぐことになり、
「初めはできるやろか?と迷いもあったが、同じ人間がやりゆうことやからやってみてから悩もう」と。
夫婦げんかはなし。3代目として、二人三脚で15年近くになる。
室戸の人は、実直で率直。飲みながら分かり合える文化がある。
祭りになると県外からも帰省する結束力に感心する。
日常的にも、若い衆が“はっちゃける”場があれば、町ももっと活気づくと思う。
たとえば、西と張り合わなくても東は東で進んでゆけばよい。
良い素材がたくさんあるのだから、室戸から世界に向けて出て行くものも作りたいと、
今春から、自社の天ぷらやかまぼこをシンガポールに向けて販売し始めた。
「競い合うよりいいところを見つけてお互いに進めばいい」が持論。
結婚も一緒だと笑う。背筋がピンと伸びた長身。
小学校時代に始めた柔道は黒帯の腕前。
名門国士舘大学では体重90キロ超で無差別級に属し、有名なオリンピック選手の練習相手も経験した。
「あちらは強化選手、こちらは一般選手で格違い。
自分に与えられた場で努力する楽しさを知った」。
実直率直の室戸びとだ。

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