室戸市内のニホンカモシカ・ニホンリス調査報告 #2
2021年09月03日(金)
横倉山自然の森博物館の谷地森先生と、2~5月に、室戸市内のニホンカモシカとニホンリスの調査をしました。
詳しくは前回の投稿をごらんください。https://bit.ly/3jB24hR
今回は、調査中に見つかったことを2つお知らせします。
(自動撮影装置設置場所)
■疥癬のタヌキが見つかり、皮膚病が広がるのが心配です
撮影された映像のなかに疥癬 (かいせん, 皮膚病) のタヌキが映っていました。
詳しくは下記、谷地森先生のコメントをごらんください。
(疥癬のタヌキは地点7で撮影)
谷地森先生コメント
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・腰からお尻にかけて白く変色して映っている。特に4/23に映っている個体は、しっぽがもうひょろひょろになっている。
・なにかのきっかけで表皮についているダニが大発生する。ヒゼンダニという名前のダニ。皮膚の中にトンネルをほって、トンネルの中に卵を産みつけてどんどん広がっていく。猛烈に痒くなり、毛根が死んでしまうのか、どんどん毛が抜けてしまう。ものすごくかゆいため、そこを掻き壊して、皮膚が破けてかさぶたになって像の皮膚のようになってしまう。免疫力がさがるのか、ジステンパー等の病気にかかりやすくなって、死に至るということが確認されている。 これは接触によってどんどん感染していくので、タヌキのように家族で暮らしていたり、ため糞場で複数の家族が出会って喧嘩をするとそのときにどんどん広がって、地域の個体群が全滅するときもあるぐらいひどい病気。
・全国的に見つかっている病気で、四国でもこれまでに何箇所かで確認されている。ヒゼンダニは飼い犬や飼い猫にも伝染るため、もし室戸にタヌキに餌付けをしている家があると、そういうところに疥癬のタヌキがきて、犬や猫、他の個体に感染って広がっていく、ということが心配される。
■3本脚のイノシシ
撮影された映像のなかに3本脚のイノシシが映っていました。
(3本脚のイノシシは地点11で撮影)
以下、谷地森先生と、高知大学博士課程でニホンザルの研究をされている寺山佳奈さんからのコメント。
※今回の調査はカメラの設置を含め、谷地森先生を中心に、寺山さんや、室戸市内地元の方の協力で実施することができました。
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寺山:
11番カメラで映った、後ろ脚のないイノシシ。すごいなと思った。結構長い間映っていた。カメラの前で採食していた大人のイノシシ。くるっと方向転換したとき、左の後肢、膝から下がなくなっている。この体型で片脚ないのに、しっかり立ってごはんを食べられる生命力の強さに感動した。
谷地森:
くくり罠にかかって、人間に見つかる前に、ちぎって逃げてきたんだろうな。四国で撮影すると結構他の動物でも、こういうのが見つかっていて、タヌキが結構多い。タヌキで足が一本ないという個体があちこちで映っている。
谷地森:
先日、連絡があって、高知の東の方でカモシカの子供が、くくり罠にかかっているから助けに行くということがありました。県と自治体の職員で対応するということで、事なく、放されることにはなったと思う。そういう事例がいま、県内で見つかってきている。 くくり罠に天然記念物が捕まったり、足がちぎれた個体をつくりだしたり、問題かなと思っている。
―対策について
谷地森:
まずは、頻繁な見回りをかかさないこと。罠をしかけるときは、必ず1日1回は見回りをするということになっている。これで脚をちぎって逃げる、という個体を減らすことはできる。 谷地森: 今の時期しかけるくくり罠は有害捕獲のはずなので、この場合捕まえる対象の動物を決めてかけるのが約束。例えば、イノシシ対象の罠にカモシカがかかっていたら、できる限り、放してあげなければいけない。狩猟者の方の協力をしっかりとりつけることが重要。 錯誤捕獲が起きたからといって、狩猟者に対してなにかペナルティがかせられるわけではない。それを隠すと問題になる。万が一対象外の動物がかかっていた場合速やかに放すかもしくは、その市町村に相談するというのがまっとうな対策。 実際カモシカはけっこうかかるらしい。高知だけでなく、全国的にカモシカはくくり罠に捕まると聞いている。今後カモシカが分布を広げていくと、高知でもそういう事例が増えてくるかもしれない。
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今回の報告は以上です。その他に撮影された動物の情報や映像も、順次公開していきます。
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