体験プログラム「生き物ウォッチング」でおなじみ、横倉山自然の森博物館学芸員で、動物専門家の谷地森秀二先生を中心に、「ニホンカモシカは室戸のどこにいるのか」「室戸にニホンリスはいるのか」を調査しました。

今年の2月に室戸市内の山中19ヵ所に自動撮影装置を設置し、3ヶ月後の5月に、早すぎる梅雨入りで苦労しながらも、なんとか全て回収できました。

（自動撮影装置設置場所）

5/21に予定していた谷地森先生との夕食を囲みながらの映像確認会は、県内での感染者数の増加を受けて中止になってしまい、多数のお申し込みをいただいていたのに残念でしたが、以下に調査結果を公開します。

 ■ニホンカモシカは室戸のどこにいる？

１９ヵ所中、４ヵ所でニホンカモシカが撮影されました。

以下、谷地森先生からのコメントです。

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・ニホンカモシカは、想像していたよりも多くの場所に映っていたという印象。地点3, 9, 15, 18番。

・若そうなカモシカが映っていた

・寝てるやつがいた。休憩している個体がいて、かなり悠長に暮らしているやつがいるという印象。この場所はかなり奥に入ったところだったので、カモシカにとっては人と出会わなくて悪くない場所なのかもしれない。

・自然の家近くの7番が映らなかった。あのあたりにいた連中がどうなったのか、気になる。室戸で調査を始めた当初、結構な頻度でカモシカが映っていた。自然の家の敷地内でも確認がとれていた。今回はまともに自然の家の敷地の中には仕掛けなかった。今年の生き物ウォッチングでは、過去にカモシカが映っていた場所にカメラを仕掛けてみたいと思う。

・カモシカについての総括としては、室戸の中の広い範囲で、複数頭が生活しているような感じをうけた。

・調査前は、海岸線に沿って何箇所かで目撃されている情報と、青少年の家の周りでみられているという情報と、あとは北側の市町村境で過去に死体が何体かでているという情報があったぐらい。例えば9番については、これまで見つかっている場所から離れている場所。今後どうなっていくのかわからないが、室戸にはけっこうカモシカが入り込んでいるんだなという感触をもった。

・自然の家では親子のカモシカの目撃例もある。そこで繁殖、出産という例も過去にあったが、最近はそういう情報がでていないのが少し気になるところ。

・20年くらい前までは剣山の標高の高いところや、馬路村魚梁瀬の周辺でよく目撃されていたが、最近になってそういう場所での情報が減って、徐々に標高の低いところや、東西南北に散らばってきているという結果がでてきている。その理由としてあげられているのが、ニホンジカの増加。食べ物がシカにとられて、カモシカがそこで暮らしにくくなったのではないか、といわれている。東西南北に散らばっていったとき、南側が室戸市周辺になるので、室戸市周辺になってみられているのは、おそらく最近になって入ってきた連中。カモシカで心配されているのは、基本的に単独個体で、他の同じ性別の個体に対して、縄張りを強く宣言する。散らばっていった先で、相手に出会えないという可能性が高い。分布は広がるが、その先で数が増えていくかどうかは、楽観視できない動物。そういった意味で、今カモシカは環境省のレッドリストでも「絶滅のおそれのある地域個体群」に指定されている。

■室戸にニホンリスはいる？

１９ヵ所中、１ヵ所でニホンリスが撮影されました。室戸市内で初めての確認となりました。

以下、谷地森先生からのコメントです。

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以下、谷地森先生からのコメント

6番で映った。設置のとき、かなり濃厚な気配はあったが、意外だった。これまでの無人撮影の調査でまったく撮影できていなかった。果たして室戸にはニホンリスはいるのだろうか、いるとしたら北の方の野根山街道の周辺で撮影されるかなと思っていたが、6番がある南の方で映ったのは少々意外だった。

・ひょっとしたらその周辺 (地点6) でももう少し丹念にカメラを仕掛けたら、ニホンリスが映るかもという印象

・９番で映るかなと思ったが、映らず残念だった。モミの食べあとがあったのでいけると思ったが、残念。このあたりは今後調査をしたらなにか成果がでてくるかもしれない

・かなり南の方で撮れたのはちょっと興味深い。そこにいるなら、自然の家の周りで映ってもおかしくない。自然の家の敷地ではこれまで何度もカメラを設置しているが、ニホンリスは撮影できていない。今後は6番、9番あたりは興味をもっていきたい。

・室戸周辺では、東洋町の野根山街道に上がっていく道で、大量のモミの食べ後が見つかっている。馬路村では普通に撮影されている。室戸市以外では情報はあったが、これまで室戸での情報が得られなかったのは不思議だった。今回、撮れたのでよかった。

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コメントは以上です。その他に撮影された動物の情報や映像も、順次公開していきます。