人も魚も減っちゅうけど、
うまい魚で、 室戸を盛り上げたい。

タカシン水産室戸工場は、東部では数少ないタイプの魚の加工場だ。
全国有数の大型定置網漁港(大敷)で水揚げされた魚を、
すぐに仕入れて加工するから、「鮮度ではどこにも負けない」
夏場のメインは〆鯖やカツオのたたき。
ビンチョウ鮪のブランド品“おとめまぐろ”も人気の品だ。
工場長代理の前田雅裕は佐喜浜(さきはま)育ち。
ガタイのよさは野球に明け暮れた少年時代から。
県外で長距離ドライバーなども経験したが、室戸に戻り、
水産高校で学んだ知識を活かすタカシンに入社した。
東洋町生まれの本田司は漁師の息子。
船酔いがひどくて跡は継げなかったが、大好きな魚を扱う仕事に就いた。
ずっと相撲をやっていて、「それなりに強かった」。
技能派の人だったに違いない。
室戸について聞くと、「子どもの頃、悪いことをするとよその人に叱られた」
「 車がないと何もできないのは不便だけど、室戸は山も海も近いから季節の旬が食べられるのが贅沢やと思う」
これからもっともっと魚を学び、加工の知識も増やしていきたい。
さばくのに1分かかったものを50秒、30秒と短縮したい。
そうして、大手と対等にやりあえる関係になりたい。
若き室戸びとは、口を揃えてこの先の目標を語る。
強肩が自慢だった元球児と、小兵ながら勝ち抜いてきた元力士が描く未来は、“だるま朝日”のように鮮やかだ。

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