食材がいいから、
どないしてもえいもんができるわ。

創業45年。2代目の出間精一郎は、神奈川県三浦市の生まれ。
高校から室戸に移り、20歳で店を継いだ。
商店街で鮮魚店をしていた頃には、マグロ船が港に着き、室戸の町も好景気に湧いたという。
その後、オイルショックや人口減の流れを経て、転機がやってくる。
郵便局の『ふるさと小包』にカマスの干物で参加。
半年後に郵政職員向けの頒布会に取り上げられ、一気に5,000個を受注した。
すると今度は品物が足りない。
同業の先輩の協力を得て対応するも、初めてで手探りだった通販の収支は、どうにかとんとん。
「売り先はあるのにタネ切れ、とならんように必死やった」
平成7年に店舗を移転し、塩干物製造加工に転向。
定置網で獲るきんめや鯖を、海洋深層水(原水)を加塩した漬けこみ液に浸して伝統の天日干しにしたところ、
甘みが強く“まっことうまい”干物に仕上がった。
漁場が近く日戻りで揚がる室戸の魚は鮮度がいい。
形がちがうと評判を呼ぶ。全国にファンも広がった。
オリジナルの加工品を「室戸のお土産バッグ」として売るなど、アイデアは尽きない。
だが、全国区で売れると再びタネ切れが心配だ。
「漁獲量に一喜一憂していたら魚屋は務まらん。でも買いたいのに売り物がないでは困る。
これからは養殖の研究も進めなくては」
安田町生まれの妻と二人三脚。
自らを働き続けるマグロ体質と語る仕事好きは、まっすぐに室戸の海と魚屋の未来を見つめる。


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