コラム

美味しいマグロの話

2013年03月29日(金)

皆さん、おとめまぐろ丼ってご存知ですか?“おとめまぐろ”というのは、血抜き洗浄&内臓除去などの「高鮮度処理」されたビンチョウマグロのことです。ビンチョウマグロというと主にシーチキンに加工されているマグロでそんなに美味しいイメージは無かったのですが、実際におとめまぐろ丼を食べましたら想像以上の味でした。鮮度は重要なんですね!そんなドンブリは、室戸市内のお店(ホテル明星、花月、駒季、立寿司、初音、福尚、みやび)で食べる事ができますし、スーパーなどでもたまに見かけるようになってきました。

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で、このマグロに関わる方々と会う機会がありまして、、、

 

【まえふり】

先日、高豊丸の船主さん、漁労長さん、機関長さん、そして籠尾ドックの皆さんとの食事会に誘っていただきました。この会は、籠尾ドックの社長さんの呼びかけで開かれ、観光に関わる人(今後の観光は一次産業の人と観光客との関わりが大事だと私たちは考えています)と漁師さんとが意見交換をしました。決して、ただの飲み会ではないのです 😎

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そのとき聞いた、「遠洋マグロ漁、これが無いと困るランキング」は以下の通り

3位:延縄の主縄
延縄漁の主縄の長さは足摺〜室戸くらいとすごく長く、降ろすのにも6時間かかります。その後、4時間待って、12時間かけて揚げるそうです。(いつ寝ているの!?)
2位:餌
その時に応じて、凍結されたのを使っていて、イカ、ムロ、イワシ、コノシロ、サバなどを使うそうです。
1位:枝縄
主縄の枝で、長さや間隔は企業秘密だそうです。
この他にもエンジンや船員同士のチームワークなど大事なものが沢山あることを教えていただき、結局は「ちゃんと現場を体験せんとわからん。言葉で言ってもな。」という話になり、柴田は高豊丸の試験航海に乗船させていただくことになりました(関係者の皆様、無理を言ってすみませんでした。ありがとうございました。)

 

【試験航海当日】

3月28日の朝8:30に奈半利港の籠尾ドックに着きました。もう、高豊丸(434トンの遠洋マグロ船)は出航準備が整っています。喫水線が浅い感じがするのは、まだエサや燃料などを積んでいないからだそうです。

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高豊丸の“た”です。
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タグボートに引っ張られて、出航します(個人的にタグボートは好きなんですよね。)。OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

奈半利港で網のメンテナンスをする皆さんも見えました。OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

デッキにはこんなに浮子がいっぱい。
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ここのデッキにマグロがあがります。あがったら、すぐに内蔵を取り出して、血抜きをして、急速冷凍されます。この他にも延縄の枝縄などの漁具もあったのですが、自重します。
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どのエサを使って、しかけをどの方向に流すかは、漁の成果に関わります。その最後の判断は漁労長が行うそうです。漁労長は「経験も大事やけどバクチみたいなもの」とおっしゃっていました。でも、多くの船員さんの給料は労働時間ではなく歩合制で、どれだけ捕れたかが大事ですから、言葉の重みが違いました。

 

喫水線が浅いこともあり、ちょっとしたウネリを横に受けてすごい揺れました。
(とはいっても、最大20度位だったそうです。)
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籠尾ドックの技術者の皆さんは、オーバーホールしたエンジンの調子を確認するため、温度を計測しています。OLYMPUS DIGITAL CAMERA

高知港に入ってきました。この頃には、天気も良くなって晴天です。OLYMPUS DIGITAL CAMERA OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

着岸(12時過ぎ)すると、エンジンオイル・燃料・物資の補給がはじまりました。OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

今回の乗船で、同時に船を運行する人、漁をする人、修理する人、給油する人、エサや漁具を手配する人、無線の機器を設置する人、その他いろいろな機器のメーカーさん、船員として働くインドネシア人などなど多くの人が一隻の船に関わっていることを教えていただきました。短い乗船でしたが、記事で紹介したもの以外にも色々と教えていただきました。これで、少しだけ「おとめまぐろ」について話をするときに違った言い方ができるようになった気がします(そろそろ、海流の話をちゃんとジオストーリーにまともに入れれるように勉強しなきゃな。)。もう少しまとめて、いつか紹介しますね!とはいえ、漁師さんの仕事のホントのところは漁の瞬間を見てみないと分からないんだと思います。いつか、乗ってみたいと思いつつ、真剣な皆さんの姿を見て、生半可な気持ちで乗っちゃいけないんだろうとも思いました。

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高豊丸は、4月2日に最初の漁場であるソロモン諸島に向けて出航し、次に陸に上がるのは1年ほど先だということです。船主さんは「大きな船に見えるけど、洋上では木葉のようなもの」とおっしゃっていましたが、僕には関係者の期待の塊のように見えました。安全な航海をお祈りします。

 

 

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