コラム

市民が主人公のジオパークへ

2010年09月24日(金)

世界ジオパークの国内候補地に決定して、10日間が経った。問い合わせが殺到するわけでも、急に仕事が増えるわけでもないのだけど、何か違うステージに上がった実感というのがジワジワ感じはじめている。それは、室戸ジオパークの主人公が行政から市民へ移っていく息吹である。

ジオパークは専門家のためでなく、市民のためのものよく言われる。これは、ジオパークが単に地質遺産でないことを示す特徴的な言葉である。「世界遺産」と同じく遺産の保護を目的とするのであれば、価値を専門家が判断し、行政によって法律などを整備することでリストに加えられることになる。ジオパークはジオパークをどのように市民が活用しているかが評価の対象となる。例えば、教育や観光などへジオとその恵みを適用していくこと。教育も観光も行政のする仕事もあるが、ほとんどは市民レベルでの理解が必須となってくる。

室戸ジオパークの場合、国内候補地になる前までは多くの人にとってそもそも知らないものだった。これが、少しずつ「あー、ジオパークは大事やね」と声をかけて頂けるとこまでは来たような気がする。新聞やテレビでの報道は、ジオパークを理解していただくきっかけになった。次のステップは、「私もジオパーク活動をしているのよ」といえる人をいかに増やすかということになる。国内候補地の決定によって一段ハードルが高くなったのだ。

たしかに、ここ1年の活動で大きな前進をしてきた室戸ジオパークであるが、世界ジオパークまでの距離はかなり遠い。今回、世界ジオパークを逃すと日本で初めて世界ジオパークになれなかった地域となってしまうこともあり、相当緊張している。しかし、この1年で多くのひとがつながり、ジオパークを意識している人や具体的に何かを初めているひとが増えはじめている。「ジオ」と名のつくグッズが室戸市内でもチラチラ見え始めている。ボランティアガイドさん達の意識も向上してきている。ジオパークの旗を立てたいという市民の問い合わせも増えてきた。

ジオパーク推進協議会の仕事は、具体的に動き始めた市民の方々をバックアップしていくこと。英語版の世界申請書の原稿を書きながら、早くそういう問い合わせでパンクしてくれないかと、密かに思う柴田でした。

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